今週の注目ヒップホップニュース一気読み(2026年8月18日号)

写真: JD Sports / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)
今週は法廷と新作リリースが交錯した一週間でした。Lil Durkの連邦裁判が8月20日(木)にロサンゼルスで開廷を控え、ラスベガスでは2Pac殺害事件の裁判で冒頭陳述が始まりました。金曜にはTrippie Reddの新作『NDA』と、Nipsey Hussleの遺作(本人が亡くなったあとに出る作品)『PROLIFIC』が同じ日に到着。収監されたままのPooh Shiestyは、宣伝活動なしでビルボード初登場7位に入りました。今週の動きを、編集部の基準で注目度の高いものから11本お届けします。
🎤 今週のヒップホップ関連ニュース
Lil Durkの連邦裁判、8月20日に開廷へ 証人リストを巡る攻防も
Lil Durkの連邦裁判が8月20日(木)にロサンゼルスで始まります。開廷を前に、8月13日(木)の審理では検察側が担当のMichael Fitzgerald判事に対し、証人の身の安全を理由に証人リストを非公開にするよう求めました。検察はこれまで、この事件で証人やその家族が脅されてきたと主張しています。報道によると検察側の証人はおよそ35人で、そのうち約20人が中心的な役割を担うとされています。
起訴の内容は、他人に人を殺させようとした罪(いわゆる「殺しの依頼」)です。2022年、ロサンゼルスのショッピングモール近くで起きた銃撃で、検察は狙いがラッパーQuando Rondoだったものの、実際にはそのいとこSaviay'a Robinsonが撃たれて亡くなったと見ています。Durkは無罪を主張しており、有罪となれば終身刑の可能性があります。検察は彼の楽曲の歌詞も証拠として使う構えで、歌詞を法廷に持ち込む是非が、YSL(Young Slime Life)を巡る一連の裁判が終わって間もないタイミングで、また問われることになります。
出典: HotNewHipHop / Rap Reviews
2Pac殺害裁判、冒頭陳述がスタート
写真: Nick Leisure / Wikimedia Commons(CC BY-SA 2.0)
先週開廷したDuane "Keffe D" Davis(63歳)の裁判は、陪審員選びを終えて冒頭陳述の段階に入りました。1996年にラスベガスで2Pacが銃撃されて亡くなった事件で、殺人罪の裁判が開かれるのは初めてです。裁判の様子はライブ配信もされており、検察と弁護側それぞれの主張が語られ始めています。検察はDavisが実際に銃を撃った人物だとはしておらず、襲撃を仕組んで指示を出した側だという位置づけです。
この裁判のカギは、Davis自身がこれまで語ってきた言葉にあります。彼は2019年の自著やインタビューで、自分が白いキャデラックの助手席にいたこと、後部座席の男たちに銃を渡したことまで話していました。ネバダ州の法律では、殺害計画に加わったと認められれば、引き金を引いたのが別人でも罪に問います。有罪となれば、Davisは仮釈放なしの終身刑に直面します。前号でお伝えした通り、当時2Pacの隣に座っていたSuge Knightは証言を強く拒んでおり、出廷するかどうかは見通せません。
出典: HotNewHipHop
Trippie Redd、3年ぶりの新作『NDA』を配信
写真: Million Dollaz Worth Of Game / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)
Trippie Reddが8月14日、通算6作目となるアルバム『NDA』を10K Projects/1400 Entertainmentから配信しました。2023年に全米アルバムチャート3位を記録した『Mansion Musik』以来の新作で、収録は25曲というボリュームです。前日にはSpotifyのプレイリストRapCaviarと組んで曲順を公開していました。
客演陣がとにかく豪華で、Sexyy Red、Young Thug、Kodak Blackといった先行曲の面々に加え、Lil Wayne、PARTYNEXTDOOR、Rema、Ski Mask The Slump God、BigXThaPlug、Rob49、NoCap、YNW Mellyらが名を連ねます。制作陣は、2016年のSoundCloud時代に打ち出していたメロディアスなエモ・ラップに立ち返る、という方向で作品を打ち出しました。その狙い自体は実っている一方、25曲という長さがちょうどよかったのかどうかは、公開後しばらく議論が続きそうです。
出典: The Source / Wikipedia
Nipsey Hussleの遺作『PROLIFIC』が到着 Bino Rideauxとの共作
写真: LitoStarr / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
2019年に亡くなったNipsey Hussleと、Bino Rideauxの共作アルバム『PROLIFIC』が8月14日に届きました。翌15日はNipsseyの41回目の誕生日にあたる日で、その前日に合わせたリリースです。全15曲で、レーベルはAll Money In/Out The Blue Records、流通はAtlanticが担いました。大事なのは、これが死後にかき集めて作ったものではなく、大半が2017年の時点で形になっていて、本人が描いていた方向のまま仕上げられた点です。
客演にはCardi BとTy Dolla $ign(「I Just Wanna Know」)、Leon Thomas、Buddy、James Fauntleroy、そして先行曲「Reckless」に参加していた故Static Majorらが並びます。Nipseyの兄Blacc Samは、Nipseyが早くからCardi Bを高く買っていて、当初はアルバム『Victory Lap』への参加も考えていたと語っています。亡くなってから7年、寄せ集めではなく「本人が作った」と感じられる、めずらしい遺作に仕上がりました。
Pooh Shiesty、獄中からビルボード初登場7位
写真: Million Dollaz Worth Of Game / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)
前号でリリースをお伝えしたPooh Shiestyの新作『All Eyes On Shiest』が、全米アルバムチャート「ビルボード200」で初登場7位に入りました。アルバム換算で約51,000ユニット(CDやダウンロードの売上に、ストリーミング再生を換算して合算した枚数)で、事前の業界予想だった「9位・約40,000」を上回っています。8月7日に出た全16曲で、GloRilla、Sexyy Red、Tay Keithらが参加。米アップルミュージックの総合チャートでは、ビルボードの数字が出る前にすでに1位を取っていました。
この順位が驚きなのは、宣伝らしい宣伝がほとんどなかったからです。Shiestyは強盗と誘拐の罪で裁判を控えて収監されたままで、インタビューもリリース週のライブもできません。既存のファンだけでトップ10入りを支えたことは、いまのストリートラップにとって、どれだけ宣伝の仕掛けが必要なのかを考えさせる材料になりそうです。
出典: Hip-Hop Vibe / The Source
RolexがDrakeに世界で1本だけの特注ロレックスを贈呈
写真: The Come Up Show / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
Drakeが8月15日、Rolexから直接贈られた世界に1本だけの特注デイトナ「Ice Gradient」を披露しました。2026年のチャートでの節目を記念したもので、文字盤はダイヤを敷き詰めた仕様。ブレスレットは透明な石から徐々に濃い氷のような青へと移り変わっていくのがポイントで、ケースハには彼の「Iceman」時代にちなんだ「Freeze the World」の文字が刻まれています。本人はこれを「今まで手にした中でいちばん大切なもの」と表現しました。
Rolexがこうした特注品を公にすること自体がほとんどなく、時計そのもの以上に、それが大きな話でもあります。Drakeはこの週、賭博サービスStakeを巡るニューメキシコ州での訴訟が、別の仲裁の判断を受けて宙に浮いた状態にもなっています。
出典: Hypebeast / HotNewHipHop
Diddy、告発者Lil Rodに反訴
写真: Reckless Dream Photography / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
Sean "Diddy" Combsが、2024年から自身を訴えている音楽プロデューサーRodney "Lil Rod" Jones(3,000万ドルの性的暴行訴訕を起こしている)に対し、マンハッタンの連邦裁判所で反訴を起こしました。8月11日の申し立てで、Combsは、50 Centが製作に関わったNetflixの番組『Sean Combs: The Reckoning』でのJonesの発言が名誉を傷つけたとし、番組に使われた映像を無断で持ち出したとも主張しています。
Combs側は、Jonesが撮影スタッフの端末に勝手にアクセスして映像を入手し、のちにNetflixへ渡したと訴え、この一連の訴訟そのものを、契約した報酬以上を得ようとする「報復のための動き」だと位置づけました。Jonesは自らの訴えを取り下げてはいません。Combsは2025年の有罪判決を受けて50カ月の刑に服しており、この争いはすべて書面の上で続くことになります。
出典: The Source / HotNewHipHop
NLE Choppa、Pooh ShiestyとNBA YoungBoyに矛先
写真: HOTSPOTATL / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)
メンフィス勂がまた騒がしくなりました。NLE ChoppaがロサンゼルスのラジオPower 106でフリースタイルを披露し、その後インスタグラムのストーリーで、狙いはPooh Shiestyだと認めました。流出した通話でShiestyがChoppaを「ゲイだ」と言ったとされることへの反応です。Choppaは長年もめているNBA YoungBoyも巻き込み、二人とも自分の見た目(Shiestyのチェーンから、YoungBoyの迷彩スタイルまで)を真似していると批判しました。
YoungBoyとの因縁は長く続いてきたので、そこは目新しくありません。ややこしいのはShiestyとの関係で、Choppaの子どもの重Marissa Da'Naeが、Shiestyの子どもを妊娠していると伝えられています。ShiestyもYoungBoyも今のところ反応しておらず、片方は収監中、もう片方は韓国で暮らしているという状況もあって、本格的な言い合いには発展しないかもしれません。
出典: HotNewHipHop / The Shade Room
UsherとChris Brown、R&Bツアーに追加公演
写真: Pelpa Time Production / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)
R&BのビッグネームUsherとChris Brownが、共同のツアーに新たな公演日を追加しました。二組が並ぶR&B色の強い顔ぶれで、需要の大きさがうかがえます。ラップ寄りの話題が続いた今週の中では、歌もののステージが動いた一報です。詳しい会場や日程は、それぞれの公式発表で確認できます。
出典: HotNewHipHop
Open Mike EagleとKenny Segal、共作『DOOMED!』をリリース
写真: Treefort Music Fest / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)
金曜の大型リリースに少し隠れましたが、ラッパーOpen Mike EagleとプロデューサーのKenny Segalが8月14日、共作アルバム『DOOMED!: Rap Songs About a Relationship That Ends in Every Possible Universe』を、billy woodsのレーベルBackwoodzからリリースしました。woods本人やGothic Tropicも参加しています。
チャートには絡まないタイプの作品ですが、年末のベスト盤リストには残りそうな一枚です。Segalが丸ごと一枚Mike Eagleと組むのは、アンダーグラウンド・ラップのファンが待っていた組み合わせで、「あらゆる並行世界で必ず終わる恋」という設定が、笑いと痛みを同じ一行に詰め込むMike Eagleの持ち味を引き出しています。
出典: Consequence
来週の予定:RapsodyとCam'ronが8月21日にリリース
写真: HOTSPOTATL / Wikimedia Commons(CC BY 3.0)
8月はまだ止まりません。Rapsodyの新作『God Gotta Afro & Gold Hoops』が8月21日に届きます。全16曲で、7月末に公開した「Apple Juice」のミュージックビデオに続くものです。同じ日には、Cam'ronが亡き母の名を冠した『Cam'ron Presents: Frederica』を、同名の短編映像とともに出します。彼にとって久々のまとまった作品で、これまでで最も私的な一枚になりそうです。
その先、8月28日にはRod Wave、E-40、Czarfaceらが控えています。夏の終わりに向けて、聴きどころの多い数週間が続きます。
出典: The Source / HotNewHipHop
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